在日韓国人青年の海外赴任日記8-本名?通名?海外での注意点-
海外赴任中の在日韓国人青年のユインです。
今日は、在日同胞の皆さんにとって身近な「名前」の問題について共有しますね。
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目次
■本名か通名か
■海外で日本の通名は通用しない?
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■ 本名か通名か
僕たち世代の在日が集まって会話しているとき、時折話題に挙がるのがこの話ですよね。本名で生活するか、それとも通名で生活するか。
それぞれの考え方や判断があって良いとは思いますが、僕は高校の頃からずっと本名で生活することにしました。中学までは何も考えずに日本の学校に通っていたのですが、高校から韓国学校に通うことにしたので、それが良い機会となりました。もちろん就職活動も本名でしたので、会社も本名で通っています。
これはあくまで僕の感覚なのですが、通名を使っていると「何かを隠しているような」気持ちがどこかにあるのを感じますが、普段から本名で生活しているとそういう気持ちになることが無くて、個人的にはラクに感じるようになりました。
初対面の人には名前を聞き取ってもらえることが少ないですが、すぐに名前を憶えてもらえるということもメリットだと実感しています。韓国籍だということを認識してもらえる一方、ちょっと韓国に旅行して来ただけで「韓国に帰っていたのね?」と言われてしまい、複雑な気持ちになることはありますが、まぁそれは些細なことかな…と、僕はあまり気にしないようにしています。(僕は生まれ育ち日本なので韓国はあくまで旅行で…と一言だけ説明しますけどね。)
まぁ、人間は名前で判断されるべきではなくて、やはり言動やふるまいで判断されるべきものだと思うので、本名か通名かに強くこだわる必要はあまり無い気がする。というのが今の僕の考えです。
でも、生まれてずっと使ってきた通名に強い愛着を持っている人もいるでしょうし、周囲や仕事上の付き合いなど、人によってはやはり日本国内では急に本名に変えることが難しい人がいるのも事実だと思います。僕自身も多感な頃に悩んだ経験があるので、その気持ちはよく分かります。
じゃあ、海外で生活する上では?名前はどうなるのか…?
■ 海外で日本の通名は通用しない?
海外では「日本の通名の仕組み」は知られていません。やはり、自身を表す公的書類はパスポートですから、基本的には本名(パスポート記載の名前)で生活することになる。というのは意識しておいたほうが良いと思います。
特に行政手続き(住民登録や行政など)や住居契約などは身分証としてパスポート提示が求められることが普通だと思います。通名(パスポートと異なる名前)で手続きをしようとしても、説明が煩雑ですし、異なる名前だが同一人物であるということを海外で証明するのも大変な気がします。
とは言え、それらの手続きを除いて個人的な付き合いにおいては、必ずしも本名を使う必要はないかもしれません。
・ニックネームとしての通名はアリ(かも)
欧米でも、本名とまったく異なるニックネームを持っている人がいます。WilliamさんのニックネームがBillだったり、ThomasさんのニックネームがTomだったりします。中には本名はEricさんだけどニックネームがJohnだったりするケースもあるようです。「自分がこう呼ばれたい」というニックネームがあれば、「僕(私)のことはxxって呼んでね。」と言ってしまえば良いので、通名に強い愛着を感じている人は日本の通名をニックネームとするのも良いかもしれません。(とはいえ、日本式の名前の中には海外の人にとって長くて覚えられなかったり、発音しにくいものがあったりするので注意は必要です。)
・English nameという文化
韓国や中国、他のアジア圏では、欧米の方々が自分のことを呼びやすいように、英語の名前を持っている人が多いです。(自分で好きな名前を付けることも多いようです。)イギリスの名残が強い香港では、ほぼ全員がEnglish nameを持っています。お店に入って店員さんの名札を見たときに、香港人としての名前とEnglish nameが併記されていることもよくあります。
また、香港に赴任した当初、現地採用の社員から「English nameは何ですか?」と聞かれたこともあります。それほどEnglish nameは普及しています。これを機にPeterやKate、Kevinなど、自分のEnglish nameを名付けて海外ではそれで活動するのもアリかもしれませんね。(かくいう僕は本名の名前が短くて発音しやすいこともあり、そのまま本名で通していますが…笑)
・クレジットカードを作るのであれば、本名のカードがあると便利
このご時世、自分のクレジットカードを持っている人も多いことと思います。海外では、自分の公式な名前はパスポート記載の名前のみ。というのはお話した通りです。
そのため、通名名義のクレジットカードを使おうとすると、「他人名義のカードを不正に使おうとしている」とあらぬ誤解を受けることも。店によっては「パスポートの名前と違う」ことを理由に、明確に通名名義のクレジットカードの利用を拒否されることもあります。(まさに海外でその状況に陥って、とても困っている在日同胞を見かけたことがあります。)
海外赴任だけでなく、旅行も含めて通名名義のクレジットカードしかお持ちでない方は、本名のクレジットカードも持っていると助かる場面があるかもしれません。
ちなみに…ですが、クレジットカードの中には条件を満たした場合に旅行保険が付帯するものがあります。旅行保険はなるべくお世話になりたくないものですが、思わぬところで助けられることもあります。
渡航予定のある方は、ご自身に適した1枚を探してみるのも良いのでは?
(ユイン)