| アンニョンインタビュー 歌手 沢知恵 (19号掲載) SAWA TOMOE |
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| 日本人の父と韓国人の母をもち、アメリカでも生活したことのある沢さん。日本語も韓国語も英語も流暢にしゃべるし、キムチも納豆も大好きな女性。歌うことでありのままの自分を自然に表現している、そんな彼女のOPENなトークをどうぞ。 |
―韓国、日本、アメリカと三カ国で生活してきた沢さんにとっての韓国・日本とは?
私は「在日」ではなく基本的に日本人だと思っているんです。というのも、私には在日的な経験がないし、しいて言うならアメリカに近い感覚なんですね。アメリカに住んでいた頃は、いろんな血が混ざっていることが当たり前で、私はたまたま父が日本人で、母が韓国人っていうふうにストンって思っていました。
でも、日本にきたらそれは特別なことだったですね。最初は私も「在日」なんだなって思っていたのだけど、在日の友だちができたらなんか違うんですね。名前もそうだし、私は沢知恵でしょ。私の両親は私が将来どちらの国で暮らすことになっても困らないように 知恵ってつけてくれたようです。
私にとっては、地球全体の規模で考えて、たまたま日本と韓国が私の中にあるっていうだけなんですね。血だけじゃなくて、私の場合両方の国でくらしたから、韓国語も日本人にしてはしゃべれるし(笑)両方の国への思いにネガティブなことはないんです。
自分にとって当たり前のことを言葉にするのは難しいですね。それくらい自然なんです。
でも、この仕事をしてなかったら、こんな風に自分のことを考えることもなかったかもしれないですね。人前で「私は私なの」って思っている自分をさらけださなくてはならなくなって、自分の血とか出自をあらためて考えるようになり、否定するのではなくて、自分を見つめなおしたり、自分とは何なのか突き詰めるようになったのだと思います。歌手にならなかったら何もかんがえないでポワワンと生きてたかもしれないですね。
―青年会に関わる人たちも、最近では韓国籍だけでなく日本国籍者も増えてきています。ただ国籍が同じであるということ、国籍が違ってもルーツが同じであるということで集り、それをきっかけに自分自身と向き合うようなるんですね。沢さんの歌に共感する在日が多いのはそういうところなのかもしれませんね。
今は在日もひと括りにはできなくなりましたね。歌手になってから、宣伝するときに、レコード会社の人から「あなたのことを一言で言ってください」って言われるのだけど、ある一人の人間について一言でくくるということは不可能なことなんですね。無理してそういうことをする必要はないし、宣伝のためには無理やりつくりますけど自分の中でそれを追い詰める必要はないと思っています。いろんなアイディンティティがあることがその人の豊かさなんですね。。
―97年にリリースされ、評判をよんだ「The Line」という曲は沢さんの作詞作曲ですよね?
そうですね。「The Line」は自分の曲なのにライブのときに歌っている瞬間に「うわーなんて深いメッセージを持った曲なんだろう、今私が必要としているのはこの曲だ!」なんてバカみたいに思ったりすることがあるんですね。「The Line」という曲が持っているメッセージ性は全く意識して作ったわけじゃないんですね。この曲の真ん中のところはわからないで作ったんじゃないかっていうぐらい、さらさらっと作ったラブソングなんです。以前お付き合いしていた人と、どうやって一緒に生きていけばいいのかって考えて作った歌が、なんか広がりのある歌になったていうだけなんですね。恋愛だとしても世界の平和にしてもすべて「愛」という言葉で括った時につながっているということなんですよね。個人的な体験しか普遍にはなりえないと思うのですね。「The Line」という曲が、多くの人から愛されて、共感を得ることができたのは、私がこれを作ったときに、愛していた人への愛情が非常に深いものだったということだし、だからいろいろな愛へ当てはめられるのだと思います。
―南北首脳会談が決まった時、沢さんはどう思われましたか?
私は大学での専攻が北朝鮮の音楽をだったんですね。だから普通の人よりはちょっと意識があるのだけど、私はそこに生きている人、そこに暮らす私と同じぐらいの年の人とか、そういう人への思いが強くなってます。会談が実現するだけでも、あの二人が並んで握手するだけでもすごいことなんじゃないでしょうか。
私は、日本にいて、日本人がもっと他人事じゃなくて考えなきゃいけないのに、すごく能天気だと思います。朝鮮戦争により二つに分かれてしまった南北が、近づいていくってことは、すでに南北が共存しているこの日本に影響がないわけがないし、そもそも朝鮮半島が二つに分かれていることにまったく関係ないわけでもないじゃないですか、そういうことを全く言葉にもしなくなっていることにイラつきがありますね。
人間同士って分かり合えないって思っていいと思います。分かり合えると思うから言葉にしないってことがありますからね。お互いに言うことは言うし、知ってもらい、知ることが大切ですね。本当の意味での人間的なコミュニケケーションをもっともっとして、ぶつかっていくべきだと思います。私は自分の中のことを歌にしていろんなことを克服してきました。他者とうまく生きていこうとした時、もちろん自分の言葉で伝えていこうとするのだけど、自分の中のもやもやに向き合ったときに楽になれたり、ふっと優しくなれたりするんですよね。
―沢さんにとって歌うことは?
私は二十歳の時まで挫折をしらなくて、私のとって歌を歌うことが始めての挫折であり、私が持つ一番つたない能力だったんです。今はまがりなりにもプロ意識がでてきて歌でやっていくんだーって思っているのだけど 歌手でやっていくという気持ちが固まるまですごい時間がかかりました。歌うたびにすごく恥をかいているような、人前で歌うことで自分に穴をあけてその穴を再び埋めていく、そうやっていろんな歌が生まれてきたのかな。
歌に出会えてよかったな。って今は本当に思ってます。人に喜んでもらえて、自分の楽しみがあって、生活ができるってことが幸せです。
すごく今ってしんどい世の中だと思うんですよ。人と人の距離が難しかったり、この個人主義的な方向っていうのは変わらないから、このままみんな個人主義を身につけつつ、どっかでアジア特有のやわらかさとか、優しさとか兼ね備えていきたいですね。
―最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
そうですね、在日も日本人も何もみんな、本当の意味での平和な世の中になるにはどうしたらいいのか、共に考えて、実行していきたいなと思います。
| インタビューを終えて 沢知恵さんの歌に「私はだれでしょう?」という曲がある。初めてこの曲を聴いたとき、ちょっとした衝撃が走った。在日Koreanなら一度は考えてしまう素朴な疑問を彼女はこう歌う。 I don't care,I don't care 〜私はだれでしょう♪ I'm a woman , I'm an artist, I'm everything that I am ,私は誰でしょう 私は私、私は私 自分は日本人なのか韓国人なのか在日なのか? 彼女はそんなことは気にしないと歌う。私は私でしかないという自己を確立して、ありのままに生きていく。これからの時代をしなやかに生きていくコツが彼女の歌には秘められている。そんな気がする。 by kang−yejin |
「The Line」 Where's the line between love and hate Where's the line between north and south Where's the line between man and woman Where's the line between you and me There's a line,invisible line Everywhere in this world Everyday of our line It's easy if you try 'Cause the line is you Where's the line between Japan and Korea Where's the line between adult and child Where's the line between black and white Where's the line between yes and no The line is me, the line is you〜 |
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http://www.comoesta.co.jp/