夫婦の呼称あれこれ
インジュです。
春のソウルへ家族旅行に行ってきました。 日本人の夫は4回目のソウル、義両親は2人ともソウルは初めて。
PM2.5がひどかったですが、それでも見頃を迎えた게나리(レンギョウ)や진달래(ツツジ)、벚꽃(桜)、목련(木蓮)など満開でとてもきれいでした。
親戚たちとの食事会も設けたのですが、叔父たちにも私の夫の呼び方が「イソバン」で浸透していて、ちょっと笑ってしまいました。
前回の「平昌五輪の追憶」の記事でもふれましたが、私の両親は夫を「イソバン」と呼んでいます。
「名字+ソバン(書房)」は、両親が娘婿へ使う呼び方です。
我が家の場合、夫の名字が「いのうえ」なので、イソバンになりました。「いのうえソバン」だと長いですからね(笑)
ちなみに別の日韓カップルの家では、旦那さんの名前が「のりあき」なので「キムソバン」と呼ばれていました。「のり=김(海苔)」だからなんだそう・・・
結婚当初、私が両親の前で夫のことを「ナムピョン(夫)」と言ったところ、父から「大人の前ではよくない」と注意されました。
日本で言えば、人前では「夫」ではなく「主人」と呼ぶべきだという感じでしょうか。
そんなわけで編み出した呼び方が「イソバン」。
すっかり定着しているのですが、夫自身は自分が「イ」さんと短縮されて呼ばれているとはあまり知らずにいます…
また韓国では、結婚すると夫婦同士の呼び方を変えるように言われます。
「ヨボ」「タンシン」はよく呼ぶ言い方。子どもが産まれると「○○(子どもの名前)アッパ」「○○オンマ」と呼んだりします。
それまでのように名前だったり、「オッパ」「チャギ」と呼んだりすると、大人たちからは「恋人気分が抜けていない」とあまりよく思われないようです。
(チャギは漢字で書けば「自己」なのですが、韓国では「ダーリン」「ハニー」という意味になり、カップルは「チャギヤ~」と呼び合ってベタベタしています)
ちなみに4月3日付の朝日新聞朝刊によると、北朝鮮では年配の夫婦が「ヨボ・タンシン」と呼び合い、若い人は夫を「ジェナムピョン(제 남편=私の夫)」と呼ぶのだとか。(ナムピョンではなくてジェナムピョンとあって、ちょっと不思議でしたが)
平壌であった韓国特使団との夕食会で、金正恩氏の妻・李雪主氏が正恩氏を「元帥様」ではなく「私の夫」と呼んでいたそうです。国際社会に「普通の国家」を演出する狙いがある、と伝えていました。
確か以前何かで、北朝鮮では「ヨボ・タンシン」と呼ぶのは古い、と書いてありました。
若い人は妻を何と呼ぶのだろうか気になりますが、そこまで記事では言及されていなくて残念。
ちなみに「ヨボ」は漢字で「如宝」と書き「宝のように大切な人」、
「タンシン」は「当身」と書き、「自身の体のように大切な人」という意味もあるらしいです。素敵ですよね。
これは日本の人からですが、還暦過ぎてもなお本当に仲の良いご夫婦の奥様に聞いた話。
夫婦円満の秘訣は「いつまでも名前で呼び合うこと」なんだそうです。
子どもが産まれても絶対に「ママ・パパ」なんて呼び合っちゃだめ!「おい」なんてもってのほか!周囲に何を言われても、ぐっと耐えるのよ!
なんて言っていました。
「ヨボ・タンシン」も素敵ですが、私はこちらを実践中です(笑)
アン・インジュ
1984年ソウル生まれ。1990年に来日、神奈川県で育つ。延世大学校政治外交学科卒。日本の全国紙に勤務中。お酒が弱くなったことが悩み。