『トッケビ』、『星から来たあなた』、『主君の太陽』 なぜ、韓国のファンタジードラマは面白いのか
鬼と女子高生のロマンス――。
2016年に韓国で放送され、
大ヒットとなったコン・ユ主演のファンタジードラマ『トッケビ』。
ケーブルテレビでは、異例の高視聴率を記録し、百想芸術大賞をはじめとする、数々の賞レースを総なめにするなど、韓国ドラマ史上、歴史に残るドラマとなった。
振り返ってみると、宇宙人と大女優の恋愛を描いた『星からきたあなた』をはじめ、幽霊と会話し、難題を解決していく『主君の太陽』、
狐とのラブロマンスを描いた『僕の彼女は九狐尾』など、韓国では数々のファンタジードラマが大ヒットを記録している。
一方、日本でも、ドラゴンクエストをモチーフにした『勇者ヨシヒコ』や医者がタイムスリップし、現代の医療を江戸時代に置き換えた『JIN-仁―』などのヒットしたファンタジードラマはあるが、韓国に比べるとヒットしたドラマは数少ないといえる。
なぜ、韓国ではファンタジードラマは受け入れられるのに、日本では受け入れられないのだろうか。
その背景に迫ってみた。
「日本では、大ヒットドラマ『ドクターX~外科医・大門美知子~』や『半沢直樹』に見られるように、社会派ドラマでなおかつ、勧善懲悪ドラマが受け入れられる傾向が強い。一方、ファンタジードラマはよほど、脚本に面白みがない限り、ヒットすることは難しいといえます。また、日本では、ファンタジードラマが少ないので視聴者がファンタジー慣れしていないことにも原因があると思われます」(テレビ局関係者)
確かに、過去を振り返っても、タイムスリップし、過去の自分と対峙し、更生していく『流星ワゴン』や、宇宙人との恋愛を描いた『シェアハウスの恋人』といった、低視聴率なドラマしか思い出すことができない。
低視聴率ではないにしろ、キムタクが主演したロボット恋愛ドラマの『安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?〜』しかり、記憶に残らないドラマが多いように思われる。
「日本のファンタジードラマは、ストーリー展開に面白みがないものが多いように思われます。一方、韓国のドラマは、ファンタジーであることを忘れさせてくれるぐらい、ぐいぐいと引き込まれる飽きさせない展開とテンポがあるのに比べ、日本では、ストーリーや展開、テンポ、すべてがバラバラで、頭のどこかでファンタジーが抜けきらず、どっぷりとドラマにはまりこむことができないのです」(テレビ局関係者)
確かに、『トッケビ』も鬼と女子高生の恋愛、
『星から来たあなた』も宇宙人と大女優の恋愛と、
ぶっ飛んだ設定なのにも関わらず、圧倒的な脚本の面白さで、その奇天烈な設定を忘れさせられるぐらい、視聴者を引き込み、大ヒットとなった。
(松庭 直)