『バトル・オーシャン』、『軍艦島』 韓国でヒットした映画が日本で公開されない背景とは
韓国の立ち位置がガラリと変わった歴史的な映画『シュリ』の日本でのヒットから約20年。その後、韓国の映画が日本でも市民権を得たことにより、『JSA』や『猟奇的な彼女』など、次から次へと日本で公開され、人気に火が付いた。
しかし、今や、韓国でヒットしたものでも、日本の大衆向け映画館で大々的に公開されることは少なくなった、いや、ほぼないに等しいのではないだろうか。直近では、韓国でヒットした『タクシー運転手』も、単館での映画公開はあったものの、全国的に公開されることはなかった。それでも、まだ、公開されるだけましといったところだろうか。なかには、韓国でヒットしたにも関わらず、日本で公開に至らなかった映画も多くある。
なぜ、約20年前はあれほど立て続けに公開されてきた韓国映画が、今では、単館上映や公開されなくなったのだろうか。その背景に迫ってみたいと思う。
そもそも、韓国映画自体、そのものが、韓流ブームの影響を受けていたこともあり、韓流ブームに左右されることを考慮しても、公開されない原因はもっと根底的な部分にあると思われる。
韓国での興行収入、2位の『国際市場で会いましょう』や3位の『ベテラン』といった映画は一応、単館であるが公開されているにも関わらず、韓国で興行収入1位を記録している『バトル・オーシャン 海上決戦』は公開にも至っていない。また、昨今、公開され、韓国でヒットとなった『軍艦島』も日本で公開されていない。それは、やはり、映画が取り扱うテーマにあると思われる。
そのどちらとも、日本との戦争がテーマとなっているのだ。『バトル・オーシャン』は豊臣秀吉の朝鮮出兵、軍艦島は、第二次世界大戦がテーマとなっており、ストーリーの中でも、日本に対して、良いイメージで書かれているとは言い難い。
映画の中であれ、残虐に描かれることをあまりよく思わない日本人がいるのも確かだ。
よほどの韓流ブームがきて、かつ、日本版にリメイクすることができれば、これらの韓国映画も、日本での公開が実現するのかもしれない。
(松庭直)
前回の韓国映画の記事はこちら→光州事件をあつかった『タクシー運転手』が日本でも公開 私たちの記憶に残る韓国近代歴史映画たち