アンニョンハセヨ！

今回ご紹介するのはNetflixで大ヒットした”イカゲーム”の主人公イ・ジョンジェと”猟奇的な彼女”で有名なチョン・ジヒョン主演のラブストーリー“イルマーレ”です！

イカゲームでは冴えないおじさん役でしたが、イルマーレでは若い頃の好青年なイ・ジョンジェの姿を見ることができます！

映画のあらすじですが…

イルマーレと名付けられた海辺の一軒家に住むソンヒョン(イ・ジョンジェ)は２年後の未来から来た手紙を受け取ります。送り主は過去にイルマーレに住んでいたと言うウンジュ(チョン・ジヒョン)という女性。しかしイルマーレに初めて住んだ人物はソンヒョンで、過去にこの家に住んでいた人物はいないはずなのです。最初はイタズラかと思ったソンヒョンとウンジュでしたが、２人は本当に違う時間軸からの手紙だということに気づきます。そして２人は場所と時間を決めて実際に会う約束をするのですが…

異なった時間軸の男女がやりとりするという話はあの大ヒットしたアニメ“君の名は”に似ていますよね。君の名は甘酸っぱい青春ストーリーですが、こちらはもっとビターな大人の恋愛映画です。ある一説では岩井俊二監督の”Love Letter”に影響を受けた作品だと言われています。ちなみに”Love Letter”は韓国で大人気の作品です。多くの韓国の方がこの映画を知っています。お元気ですか、というセリフも有名ですし、日本での知名度よりも韓国での知名度の方が高い気がするくらいです…

ちょっと他の映画の話にずれてしまいましたが、イルマーレの話に戻りましょう！

映画のタイトルにもなっている“イルマーレ”という言葉はイタリア語で海という意味です。潮の満ち引きによりイルマーレは干潟の上に家になったり、海の上に立つ家になったりします。このように潮の満ち引きが大きい海は韓国の西側にある西海という海です。一般的に青々とした東海や南海の方が美しい海という認識がありますが、この映画では潮の満ち引きの大きい西海をロケーションに選んでいます。

決して透明度の高い綺麗な海ではありませんが、潮の満ち引きや海にかかる霧などを上手に利用し、幻想的な雰囲気を表現しています。そして映画にはウンジュの故郷として済州島の美しい海も登場します。イルマーレが建つ西海と、済州島の海、この２つの海の景色が生むコントラストがビジュアル的にも感情的にも映画により深みを与えています。

韓国語の原題は“時越愛”（시월애 : シウォルエ）という時を越える愛、という意味の造語です。時を越える２人の愛はどうなるのか…、果たして２人は出会うことができるのか… 。

そしてこの映画は単純な２人の恋愛談ではありません。ソンヒョンもウンジュも過去の恋愛で心に傷を負っている人物です。昔の恋人への想いや未練など、失恋したことがある方なら、きっと誰もが経験したことがあるビターな感情がこの映画には含まれているのです。

このように2000年前後の韓国恋愛映画は甘いだけでなくビターな要素を含んだ大人な映画が多い気がします。それが当時の雰囲気だったのか、それとも流行だったのか。その頃の私は小学生だったため、よく分かりませんが、大人になり改めてこの時期の名作を見るとジーンと感動してしまいます。そしてなんだかキュゥッと胸が締め付けられ、ズキズキと心にちょっぴり痛みを感じてしまいます…

当時の韓国ではあまり商業的にヒットしなかったそうですが、日本を初め海外での評価が高い作品です。特に映像の美しさで高評価を得ています。約20年前の映画なのでどこか古く懐かしい感じもしますが、イルマーレというモダンでお洒落な一軒家、そして映画全体に流れる美しい詩的な映像を見ていると、そこまで時代を感じさせない気もします。

きっと名作は時を越えても感動を伝えることができるからでしょう。

初めて見る方は映画の最初のシーンに注目して見て下さい。

きっとエンディングでの感動につながるはずです！

今回はここまでです！

それではまた次回！

ジニュン