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インタビュー 梁英聖さん

インタビュー 梁英聖さん

アンニョンハセヨ、インジュです。
今回のインタビューは、以前から一度お話を伺ってみたかった梁英聖(リャン・ヨンソン)さん。

「反レイシズム情報センター(ARIC)」の代表として活動しています。
諸問題についてまっすぐ真摯に語ってもらい、最後は趣味の話でほっこりしたりと、盛りだくさんの時間でした。

 

 

――「反レイシズム情報センター(ARIC)」の活動内容は?

 

 

日本で初のヘイトウォッチ団体で、差別を可視化するための活動をしています。
被害の実態調査と発表をしており、現在40人くらいの会員がいます。

政治家の差別発言を集めたデータベースを更新し、女性専用車両の悪質な乗り込みを防止するためのキャンペーンも展開しました。大学で学生が安心して過ごせるよう差別を止めるためのガイドブック作りにも、クラウドファンディング(‭https://camp-fire.jp/projects/view/71013‬)で取り組んでいます。

 

 

――高校まで朝鮮学校を出て、都立大に進んだのですね。

 

家庭の事情で、朝鮮大学より学費が安い大学を選びました。当時は生物学科へ。
初めて日本の友人に会いました。朝鮮学校の先生たちは日本社会に差別があると言っていたけど、朝鮮名でもみんな仲良くしてくれた。
素直にうれしかったです。

戦後補償問題に取り組む日本人たちにも初めて会い、裁判支援運動などにかかわるようになりました。
大学の友人たちを誘いましたが、「行く行く」と言っていたのに誰も来てくれない。
そんな中で歴史観をめぐって友人と言い争いになり、「朝鮮に帰れ」と言われて頭が真っ白に。気がついたら胸ぐらをつかんでいた。

その友だちを失い、後に法学部へ転部しました。卒業後はフリーライターになり、在日の青年団体で活動するようになりました。
そのころにヘイトスピーチに遭遇しました。あまりにも衝撃的だった。

 

 

――私は実際の現場は見たことがないんです。

 

言葉に言い表せないくらいのひどい差別です。
米国やヨーロッパでは極右が逮捕や訴訟もいとわず過激な言動を繰り返しますが、日本では遊び半分で人間の尊厳を踏みにじっている。
日本社会には差別は決して許されないことだという共通認識が必要です。放置すると「相模原事件」のようにヘイトクライムへとつながっていってしまう。

なぜこのタイミングでここまでありえない差別が出てきたのか。
その理由をトータルで解明する必要があると思いました。

情報分析をして対応していこうと、2015年に大学院に入り、同時期に仲間たちとARICも立ち上げました。今は博士課程にいます。

 

梁英聖さん

――日本社会に住む私たちは、差別に対して当事者側だからこそなかなか声を上げづらい面があります。

 

近い相手ほど変えるのは難しいですよね。差別に反対して生きるのは人間関係の対立を生むことでもあるので、やはり難しい。
じゃあどうすればよいか。一人にならないことだと思います。

僕が今日うれしかったのは、民団青年会のブログでこうやって朝鮮学校出身の人にもインタビューに来てくれたこと。同じコリアンという態度を堅持することは大切なことです。

マイノリティは差別を人に話すのが恥ずかしいとか、自分で解決できないことが恥ずかしいと思いがちです。
「自分で解決できるんだ」と思うそのプライドは大切だけど、人の手を借りる、人とつるんで生きるということは矛盾しないし、人とのつながりがあって初めて自分の力や個性を発揮することができる。
人間はバラバラになるほど自由になれるという発想がありますが、むしろ逆で、人間は助け合って生きる動物です。

複数のコミュニティーで複数の顔を持つことで、自分の持ち味が出る。
安心して自分のことを話せることができる民団青年会もその一つです。在日の団体だけでなく、ARICのようにそれ以外の団体ともつながるのが良いと思います。

差別に抵抗できないから自分はだめだと思わないで、チームでつながりを作っていってほしい。
その中で初めて相対的に孤立していた自分が見えるかもしれません。

 

 

――最後に、ご趣味は?

 

 え!難しい質問ですね(笑)うーん。実は高校時代バンドを組んでいて、キーボードを担当していました。最近、また弾きたくなってキーボードを買いました。
音楽は好きで、いまは作業しながらレディー・ガガを聞いたりしています。

 

――ありがとうございました!

 

 

聞き手:アン・インジュ

1984年ソウル生まれ。1990年に来日、神奈川県で育つ。延世大学校政治外交学科卒。日本の全国紙に勤務中。お酒が弱くなったことが悩み。

全国8ヶ所の地方本部にて定期的に事業を開催しています。
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