チェ・ジウ結婚で振り返る、時代の移ろい
ついに、第一次韓流ブームを代表する元祖韓流スターのチェ・ジウが電撃結婚を発表した。
これで、ペ・ヨンジュン、イ・ビョンホン、チャン・ドンゴン、ウォンビンに続き、第一次韓流ブームを築き上げた元祖スターたちがすべて結婚を果たしたことになる。 これは、完全に時代の転換を象徴した出来事ではないだろうか。
今回は、懐かしさとともに、チェ・ジウの軌跡を振り返りながら、時代の変遷をたどってみたいと思う。
チェ・ジウが日本で一躍スターダムにのし上がったのが、言わずと知れたヨン様と共演した『冬のソナタ』だ。その後もイ・ビョンホンと共演した『美しき日々』、クォン・サンウと共演した『天国の階段』と、立て続けに日本で放送され、日本での知名度を確実なものとした。
三本共に悲劇のヒロインを見事に演じ切り、“涙の女王”という異名がつくまでになったチェ・ジウ。
このドラマが放映された2000年前半、韓流ブームを支えていたのは、40歳以上の女性が中心であった。
コア層は、50代、60代であり、当時は、70年代に日本で人気を博した山口百恵主演のドラマ『赤いシリーズ』(こちらも数々の困難が主役を襲う)に重ね合わせ、『冬のソナタ』に郷愁を感じ、爆発的な人気につながったと思われる。
チェ・ジウは日本での人気を不動のものとし、2006年に、竹野内豊と共演したドラマ『輪舞曲』では主役に抜擢され、日本での活動を本格的に始動させようとした。しかし、残念なことに、ヒットには恵まれず、また、日韓のドラマ制作運営の違いに、チェ・ジウサイドは難色を示し、日本での活動を本格的に始動させなかったといわれている。
その後も、韓国では、イ・ジョンジェと共演した『エア・シティ』(2007年)やユ・ジテと共演した『スターの恋人』(2008年)、そして日本の『家政婦のミタ』のリメイク版『怪しい家政婦』(2013)といった、ドラマにコンスタンスに出演。
しかし、爆発的な人気を誇った2000年代前半と比較すると、いまいち、大ヒットした作品にめぐり会うことができず、女優としては不遇の時代を経験していたともいえる。
幸い、2000年代後半は、日本でも韓流ブームが小休止していた時代でもあったため、さほど、日本での知名度の低下には影響しなかったようだ。
一方、プライベートでは、『エア・シティ』で共演した俳優イ・ジヌクと熱愛に発展し、2011年まで順調な交際を続けていた。
その後、チェ・ジウは活動の場を、バラエティにも広げる。韓国の大人気バラエティ番組の『1泊2日』や、イ・ソジンと共演したドタバタ旅行記の『花よりおじいさん』でその気さくなキャラが、大女優という近寄りがたいイメージを払拭。今までのイメージを一新させ、見事に新境地を開拓したのだった。
当時は、第二次韓流ブームが日本を席巻していたが、K-POPが中心だったため、日本で彼女を見る機会はあまりなかったが、韓国では、バラエティだけではなく、ドラマにもコンスタンスに出演し、常に、身近な存在の女優であったチェ・ジウ。
結婚後も、すぐに新作ドラマの出演を検討するなど、そのスタイルは変わらないでいる。
第一次韓流ブームは去り、第一次を担った芸能人たちも年を重ね、結婚、子供をもうけ、人生のセカンドステージへと場所を移した。芸能界でも大御所となり、あまりテレビでも見かける機会が少なくなったが、その功績は、後世に受け継がれ、第二次、第三次韓流ブームへとつながっている。
同時に、彼らが第一線で活躍していた時代を見ていた私たちも、あれから10年以上が経ち、多かれ少なかれ各々のステージは変わった。今回のチェ・ジウの結婚は、単なる芸能人の結婚報道という域を超え、私たち、ファンに対しても、時代の転換を象徴させる出来事であったと感じざるを得ない。
(松庭直)