あんにょんブログ
青年会みんなの情報ブログヘイト解消の大きな一歩「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」
チョンソンです。
皆さんは神奈川県川崎市を訪れたことはありますか? 川崎市の桜本という地区は古くから在日コリアンの集住地域で、私も遊びに行ったことが何度もあります。
その川崎市が6月24日に、市議会に「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(仮称)」の素案を提出しました。これは在日コリアンにとっては「おおっ!」と喜びを持って受けとめられるもの、という噂は聞いていたのですが、具体的にはどんなもの?
詳しく知りたかったので、7月4日に「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」という市民団体が開いた、条例を学ぶための市民集会にお邪魔してきました。
まずあいさつに立ったのは、かわさき市民ネットワークの関田寛雄代表でした。関田代表は「差別の根絶には、厳しい条例が必要」「民族が違っても違いを認め合いながら、ともに生きていくということが(条例の)目標である」といったことをお話しされました。
関田代表が言うところの『厳しい条例』とはーー
ざっくりまとめますが、「川崎市はあらゆる不当な差別の解消に向けて、一人ひとりの人間の尊厳を最優先する人権施策を、平等と多様性を尊重し、着実に実行してきた」ことから
●何人も市の区域内の道路、講演、広場、駅その他の公共の場所において、次に該当する
「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」
→具体的には
・特定の国もしくは地域出身者やその子孫に「出ていけ」ということ
・特定国出身者等の生命、身体、自由、名誉または財産に危害を加えることを煽ったり、告知したりすること
・特定国出身者等を著しく侮蔑するもの
を行い、または行わせてはならない。
●これに違反したと判断された者には辞めるように勧告→命令をすることができるが、3回目の違反行為があった場合は氏名または団体の名称や住所の公表と、罰則を与える。
●市長はインターネット表現活動が「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に該当すると認めるとき、インターネット表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置を講ずる。
というものでした。
チョンソン的には厳しいどころか、確かに「おおっ!」と思える条例案でした。なぜならネットにおけるヘイト対策や、2016年6月に公布・施行された『ヘイトスピーチ解消法』にはなかった罰則規定が盛り込まれていたから。なんでも命令に違反した個人や法人には、50万以下の罰金を科すそうです。
これを読んだ中には「えっ? お金払って終わり?」と思う人がいるかもしれませんが、今までにはなかった刑事罰が盛り込まれたことは、とても大きな一歩。
この日登壇した武蔵小杉合同法律事務所の神原元弁護士も、「『行ってはならない』という明確な禁止規定があることは進歩的」と評価しながら、「ヘイトスピーチは法に反するということを明示していくためにも、この表現を(素案から)後退させてはならない」と言っていました。
川崎市がなぜ全国に先駆けてこのような条例を制定させるに至ったのか。それは川崎市内に在日コリアン集住地域があることと、当事者を含めた多くの川崎市民が立ち上がったことがとても大きいのです。
2015年11月、桜本をターゲットにしたヘイトデモが行われようとした際、地域の人の呼びかけで300人以上が集まり、デモ隊に抗議して通過を阻止しました。その時抗議していたメンバーなどにより2016年1月に結成された「『ヘイトスピーチを許さない』 かわさき市民ネットワーク」は、ヘイトスピーチ根絶のための条例の制定を求めて、市や市議会にアクションを起こし続けました。彼ら彼女らが地域からヘイトスピーチを失くしたい思いを粘り強く訴えていったことが、条例に結び付いたのです。
とはいえ、この条例はまだ施行されたわけではありません。今年12月の議会で議決され、周知期間をおいて2020年7月に施行される予定となっています。だから条例制定を阻止しようと差別主義者たちが、市に嫌がらせをする可能性も懸念されてます。
川崎市は7月8日から8月9日までの間、パブリックコメント(意見公募)を募集しています。川崎市の取り組みを応援して条例が無事制定されれば、他の自治体でも同じような動きが起きるかもしれない。そうすればヘイトデモに怯えたり、ネット上での誹謗中傷に心を痛めることもなくなるかもしれません。「自分は川崎市民ではないから無関係」ではないし、在日コリアンだけが本邦外出身者ではないから、誰かとともに暮らしていきたいすべての人に関係があるのです。
そこでぜひパブリックコメントを寄せて、川崎市の取り組みを応援しませんか?
電話はNGでメールか郵送、もしくはファックスか直接持参する必要があります。意見書の書式や送り先の詳細については
http://www.city.kawasaki.jp/templates/pubcom/250/0000108585.html
に詳しく載っていますが、
郵送or持参は川崎市川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル9階「市民文化局 人権・男女共同参画室」にアクセスを。
チョンソンも無事に条例が制定されるように、熱い応援メッセージをしたためるつもりです。
ということで今月はこれにてアンニョン。
条例案について解説する、神原元弁護士。
(チョンソン)