モガディシュ(2021)
アンニョンハセヨ!
今回ご紹介するのは韓国で昨年最高のヒット作となったリュ・スンワン監督の映画”モガディシュ”です!1991年のソマリアでの内戦時、首都モガディシュからの脱出という実際の出来事をベースにした話となっています。そしてハリウッドのブロックバスターに負けず劣らずの完成度が高い映画です!
映画のあらすじですが…
舞台は内戦の緊張感高まる1991年のソマリア。国連加入の賛同をもらうためになんとかソマリア大統領に謁見したい韓国大使館ですが、北朝鮮大使館の妨害により失敗してしまいます。朝鮮半島から遠く離れたアフリカでも南北関係の対立が続く中、ソマリア内での政府と反政府軍の対立もひどくなり、ソマリアの内戦は激化してしまいます。通信網も途切れ、孤立してしまった韓国大使館と、北朝鮮大使館。両大使館はソマリアの首都モガディシュから脱出するため手を合わせることになるのですが…
コロナで大打撃を受けている韓国映画業界ですがその中でも奮戦をし、成功を収めた映画です。製作費約255億ウォン(約25億円)というスケールの大きい大作ですが、韓国国内で観客数360万を超え、無事に利益を残しました。この国内観客数の記録は2021年の韓国映画のトップです。コロナさえなければ観客数1000万人を突破していたのではないでしょうか?
リュ・スンワン監督はアクション映画を中心に”生きるための3つの取引”、”ベルリンファイル”、”ベテラン”、“軍艦島”など多くの作品を撮ってきました。海外ロケということで大変だった撮影ですが、ハリウッドの大作にも負けないくらいの質の高いカーチェイスやアクションシーンが登場します。数々のアクション映画や大作を作って来たリュ・スンワン監督の経験や演出技術、そして韓国映画のクオリティの高さが表れた作品です。
ちなみに実際にソマリアで撮影された訳ではなく、モロッコで映画は撮影されました。韓国からは旅行禁止国家であるソマリアでの撮影は不可能だったためです。
そして登場している俳優もキム・ユンシク、チョ・インソン、ホ・ジュノといった豪華な役者陣です。その中でも個人的に注目している俳優がク・ギョファンです。以前“なまず”という作品でも紹介した俳優ですが、非常に個性的で魅力のある演技をします。ドラマですがNETFLIXオリジナルのD.Pという作品でのク・ギョファンの演技もおすすめです。
この映画は対立する南北が力を合わせる様子を描いた作品でもありますが、それと同時に内戦の悲惨さを伝える作品でもあります。ソマリア政府と反乱軍の対立、そして南北間の対立といった二重対立構造が背景となっております。分断国家である韓国にとって対立や内戦は他人事ではありません。韓国映画がソマリアの内戦を描くということにより、何か深い重みや意味が加わっているような気がします。
そして“モガディシュ”が劇場で公開中の2021年8月に、アフガニスタンから米軍が撤収し、タリバン政権が復権するという出来事がありました。ニュースで見られた方も多いと思いますが、アフガニスタンの首都カブールでは過酷な脱出劇が起きました。おそらく映画と同じか、もしくはそれ以上に悲惨な出来事も多々あったことでしょう。
そして先日起こったウクライナとロシアの戦争…
世界大戦など数々の失敗から学び、世界は良い方向に向かっているものだと、幼い頃の私は漠然と思っていました。しかし黙っているだけでは世界は決して平和には向かわない気がします。できることは限られますが、そしてコロナで大変な時期ですが、世界平和のために何ができるのか…
映画を見てそんな疑問が私の頭に浮かびました。
そして日本公開は決まっているそうですが、いつ日本で上映されるかはまだ分かりません!
日本で公開された際はぜひご覧下さい!
今回はここまでです!
それではまた次回!
ジニュン