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光州事件をあつかった『タクシー運転手』が日本でも公開 私たちの記憶に残る韓国近代歴史映画たち

光州事件をあつかった『タクシー運転手』が日本でも公開 私たちの記憶に残る韓国近代歴史映画たち

ソン・ガンホ主演の映画『タクシー運転手』が今春、日本でも公開された。そこで、改めて、私たちの記憶に残る韓国の近代歴史映画を振り返ってみたいと思う。

出展:『タクシー運転手』公式ホームページより掲載

 やはり、私たちの記憶に残る、韓国近代歴史映画といえば、1999年に公開された『シュリ』の右に出る者はいない。(『シュリ』レビューはこちら

ハン・ソッキュ演じる韓国諜報部員とキム・ユンジン演じる北朝鮮工作員のラブロマンスを基軸に、敵対する韓国と北朝鮮の関係をハード・アクションで見せる、日韓で大ヒットした映画。韓国映画が日本で親しまれ始めたきっかけとなった作品でもある。

また、同時期に公開された、イ・ビョンホン、ソン・ガンホ主演のこちらも韓国と北朝鮮の関係を友情という基軸で描いた『JSA』(2000)も『シュリ』に続く、大ヒット映画となった。

 そして、北朝鮮工作員の実話を描いたソル・ギョング主演の『シルミド』(2003)、第一次韓流ブームを担ったウォンビンとチャン・ドンゴンがW主演し、朝鮮戦争に翻弄される兄弟愛を描いた『ブラザーフッド』(2004)がこれに続く。

 また、韓国では、朝鮮戦争に続き1980年に起こった民主化運動である光州事件を取り扱った映画も多く存在する。

2007年に公開されたアン・ソンギ主演、まだ駆け出し中だったイ・ジュンギが出演している『光州5.18』や2011年に公開されたBIGBANGのTOPが主演を務めた『戦火の中へ』、そして、その活動家たちの冤罪事件を取り扱ったソン・ガンホ主演の『弁護人』、今回、公開された『タクシー運転手』(2017)が続く。

 

そして、韓国映画興行成績ランキング1位、2位はともに韓国の歴史映画が占めている。

2位は、2014年に公開されたファン・ジョンミン主演の『国際市場で逢いましょう』。朝鮮戦争とベトナム戦争、韓国の怒濤の時代を生き抜いた男のストーリーが感動を呼んだ。

出展:amazonより掲載

そして、近代映画ではないが、豊臣秀吉による朝鮮出兵である慶長の役の一戦を描いた、チェ・ミンシクが主演し、今や、日本でも活躍中の大谷良平が出演している『バトル・オーシャン 海上決戦』は1位を記録している。

出展:amazonより掲載

しかし、なぜか、韓国ではヒットしたにも関わらず、日本で劇場公開はされていない。やはり、朝鮮出兵というのが、日本公開には足かせとなっているのだろうか。

韓国近代歴史映画では、朝鮮戦争と光州事件が、二大テーマとなっているようだ。振り返ってみると、第二次世界大戦、統治時代をテーマにした映画があまりないように思われる。

昨今では、チョン・ジヒョン主演の『暗殺』(2015)や、ソン・ガンホ主演の『密偵』(2016)、ファン・ジョンミン主演の『軍艦島』(2017)などが韓国でヒットしたことが記憶にあるが、『軍艦島』を除き、植民地というダイレクトなものを扱っているのではなく、統治時代のもとで、活躍した人物をフィーチャーしている。

やはり、統治時代は、韓国人にとっては、苦い思い出であり、思い出したくはない記憶であることからヒットが期待できず、制作がためらわれているということなのかもしれない。

                        (松庭 直)

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