在日の家庭の数だけmyチェサ&チャレはある⁉
ヨロブン、カセアンニョンハシムニカ!
ってもう1月も半ばですね……。
初めまして。チョンソンと言います。某地方都市に生まれ、今は東京に住むアラフォーの在日三世です。どうぞよろしくお願いします。
この年末年始、皆さんは何をして過ごしましたか?
私は12月に沖縄旅行に行きました。その際、那覇市内をぶらぶら歩いていると、やたら目に付く本があったのです。それはボーダーインクという沖縄の出版社が発行している、『御願ハンドブック』というものでした。
御願=うがんというのは、沖縄に伝わる鎮魂の儀式のことで、亡くなった人の魂だけでなく土地の神様を祀ったりするものもあるそうです。その際には酒や米、餅などを用意する必要があるのですが、地域によって違ったり若い世代にはなじみがなかったりすることで、「どうやるの?」が分からない人も増えていることから、この本がバカ売れしているのだとか(本屋のご主人談)。
この御願って、何かに似てません? そう、皆さんおなじみのチェサやチャレを思い出しますよね。チョンソンの実家も、この正月にはチャレをしました。本来なら旧正月にやるものではないのか、という意見もあると思いますが、そのタイミングでは家族が集まれないので……。
我が家は3年前にハルモニが亡くなり、以来正月には親戚が集まることもなくなりました。のでチャレは両親と私、結婚した姉夫婦だけが参加する小ぢんまりとしたものです。
ネットで検索するとチェサやチャレは、クルミにリンゴに梨に鯛にと、それはもうたくさんの立派な食材を用意するものだということがわかります。しかしうちでは前の晩からタラのジョンやチヂミを焼いたり、ナムルやポッサム、果物などは用意しましたが、今回はおせちがドーン、ローストチキンもドーンで。お酒もソジュではなく「大五郎」でした。「クリスマスかよ」って勢いなので、ツッコミどころ満載かもしれません。でもどんな形であれ、やらないよりいいのではないかと思います。
というのも我がハルモニは、いまわの際で「チェサをどうしよう……」とつぶやきました。その際オモニが「私がやるから」と答えたら、とても安心した顔を見せたのです。オモニには弟がいるので、本来なら家を継いだ叔父がやるべきかもしれません。が、叔父は遠くの街に住んでいるので、ハルモニがいた頃から実質的にオモニが仕切っていたので、その延長として今があるのです。
私は、家の数だけチェサやチャレはあると思います。とくに在日家庭は、本国のそれと少し違っていてもそれが持ち味だと思います。
代替わりなどのタイミングで、「もうやらない」と決めたご家庭もあることでしょう。でも餅などは韓国食材店に行けば置いてありますし、ハンドブックこそないもののネットで調べられる時代なので、「やり方がわからない」「面倒くさい」と言わずに、「myチェサ」をやってみてもよいのではないでしょうか。
だってうちなんか香炉を何回どっち回しにするのかや、茅沙(モサ)の呼び名が分からず「これなんて名前?」とか言いながらやりましたし。テキトーですねえ…。
チェサやチャレは自分のルーツについて考えるきっかけだけでなく、その後に料理をおいしくいただけるので、やって損することはないと思います。とくに参加者が少なければ、それだけ横やりを入れてくる人も少ないですし(笑)。
ということで今後もどうぞ、よろしくお願いします。
(チョンソン)