在日韓国人青年の海外赴任日記12-僕と英語の出会い-
海外赴任中の在日韓国人青年のユインです。
前回の記事で「イギリス英語」と「アメリカ英語」に少し触れました。
皆さんは「英語が話せるようになればなぁ。」とか「英語を使って働いてみたいなぁ。」とか思ったことはありますか?
海外赴任が決まってからというもの「どうやって英語を勉強したの?」という質問を友人や知り合いからよく受けるので、今日は皆さんに「僕と英語の出会い」について紹介したいと思います。
まず、はじめに。ほとんどの皆さんと同じく、僕の英語経験は中学の授業から始まりました。特に英会話を習うこともしませんでしたし、留学経験もありませんでした。今回の海外赴任で初めて日本以外の地に住んでいます。ということで、もちろんnative speaker(母語として英語を話す人)ではないですし、学習年数で言えば皆さんと大差ないということを最初に言っておきますね。
■英語はしゃべれてナンボじゃ!
忘れもしない、僕と英語の出会いは中学一年生の4月でした。初回の英語の授業が始まったとき、担当のH先生が教室に入っていらっしゃると挨拶もそこそこに、黒板にいきなり漢字1字を書き出されました。何と書かれたか想像できますか?
その文字は「音」でした。そして、続けてこうおっしゃいました。
「日本は中高で少なくとも6年間も英語を教えているのに、実際に話せる人がほとんど居ない。話せない言葉を勉強して一体何の役に立つのか?自分は会話すらできない言葉なんて皆に教えたくない。英語はしゃべれてナンボじゃ!キミたちは日本語を話すときに文法を意識して話しているか?そんな人は居ないだろう。文法ばかり習っていても面白くないのは当然だ。自分の授業の目標は、皆が英語で会話ができるようになることだ。英語でのコミュニケーションの醍醐味は音だ。自分で言葉を発して、相手の言葉を聞き取ってコミュニケーションをするんだ。だから英語を話すときには音を大切にして欲しい!そして、教科書は面白くないので最低限しか使わない!」
「授業をする」ということだけを考えれば、教科書を使うのが一番ラクなところ、幸いにもこのように熱い想いを持ったその先生が中学3年間、英語を担当してくださいました。本当に教科書はほとんど使わず、毎回の英語の授業が待ち遠しくなるほど楽しく授業を受け、でも中学レベルとして必要な文法や知識は自然に頭に入っているという状態でした。授業の中ではよく会話の練習もしました。”Don’t be afraid of making mistakes when you speak English.”(英語を話すときに間違えることを恐れるな)これがH先生の口癖でした。
なぜH先生の英語の授業は楽しく、そして身に着いたのか?それは「発音方法」と「役に立つ例文」が大きかったと思います。英語に苦手意識がある方の中には「英語が通じなかったので自信を無くした」という人も居るのではないでしょうか。そして、「英語が通じない」という人に共通して見られる(と僕が思っている)のは「カタカナ英語から抜け出せない」ということと「文法を意識しすぎて言葉が出てこない」ということだと思います。
言語が違えば、発音方法も異なりますし、音感やリズム感(抑揚や高低、テンポや文章を区切る場所)も変わってきます。一旦カタカナを忘れて「聞こえたとおりに発音する」が会話を身に着ける確実な方法だと僕は思います。僕は同じ方法で韓国語を勉強しましたし、今も同じ方法で中国語や広東語にチャレンジしています。(考えてみれば、赤ちゃんも周囲の人が話す様子を見て言葉を覚えていきますよね。)
あと、会話に慣れるまではいくつか例文を覚えておくのも有効だと思います。単語を入れ替えれば簡単に文章が作れるので、話しながら文法を意識することがかなり減ります。会話が続くようになると楽しくなってくるのが、英語や他言語を勉強する醍醐味ではないでしょうか。
英語を習い始めたときに、「英語の楽しさ」を知ることができたのは、僕の英語学習にとって良いスタートでした。
■とにかく英語を使う機会を増やす
僕は日本国内の某大学でコンピュータを専攻していました。僕の通っていた大学は教員の半数が外国人で、英語は学内の標準語でした。英語の授業はもちろんありましたが、それに加えてドイツ人の教授が数学の授業を英語でしたり、ベトナム人の教授がネットワークの授業を英語でする。という感じで英語圏以外の出身の先生方の授業を受けたり、卒業論文も英語で執筆・発表が義務付けられていたり…という環境でした。
外国人の先生には授業の不明点を質問したり、逆に授業中に指名されたりするときに英語は不可欠でしたし、教科書などもほとんど洋書でした。ということで、当たり前のように英語を使う機会に恵まれたことで、少しずつ自信がつくようになってきました。やはり、英語を話す・聞く・読む・書くという機会をできるだけ多くつくることは重要ですね。
そして、僕は大学3年生のときに尊敬し、生涯の付き合いとなるアメリカ人の教授と出会います。もともとその教授の授業を受けていたのですが、それがきっかけでその教授と授業外でも気軽に話をするようになりました。そして、その教授がライフワークとして主宰されていた課外活動に混ぜてもらうことになりました。これは、「国籍や出身・信仰に関係なく、同じトピックについて参加者全員で議論し、互いの考えを深め合う」というもので、休日や平日の夜に教授のご自宅に招いていただいて実施していました。参加者の国籍やバックグラウンドも色々だったので、ここでの公用語はやはり英語。アメリカや英語圏からの学生が参加している回は議論が凄まじいペースで進んでいきます。
議論に入りたいけど割り込めなかったり、そうこうしているうちにタイミングを逃したり…というもどかしい思いをしたことで「あの輪に割って入っていけるようにならないと!」と思うようになりました。非常に実用的な英語を学ぶ機会だったと思いますし、そこでの経験が「海外で働く」ということに繋がったのだと思っています。
■さいごに…
皆さんは「なぜ英語が話せれば良いけれど…」と思うのでしょうか?それは、英語が世界の共通言語の役割を果たしているということが大きいのではないでしょうか。確かにそれはそうなのですが、僕に言わせればnative Englishではなくnon-native English(英語を後から学んだ人の英語)が圧倒的多数の主流派です。
完璧な英語を話す人なんて数で見ればごく僅かです。”Don’t be afraid of making mistakes when you speak English.”の精神でとにかく「話す・聞く・読む・書く」そしていっぱい間違えて成長する。英語に限らずこれが語学力を向上させる要因の1つだと思います。
海外で働きたい,英語を身に着けたい。という皆さんの参考になれば嬉しいです。^^
では、また。
(ユイン)