秋夕とは何か
アンニョンハセヨ、インジュです。
このブログを書いているのは추석(秋夕)の日です。
今年は日本の連休に重なったので、何となく秋夕気分になりましたが、例年は普通の日なのであまり意識しにくいですよね。
小さい時はよく송편(松餅)作りを手伝っていたことを思い出します。
母の松餅は蜜をからませた胡麻や栗と、なぜか枝豆で、枝豆はあんまり好きじゃなくてお皿に残っていたなあ。
さて、この秋夕など명절(名節)の時期になると、やはり友人たちからはため息が聞こえて来ます。며느리(嫁)の苦労はこのブログでも何度も取り上げてきた話題です。
最近は旧正月だけ帰省して、秋夕は旅行に行くという人たちも多い様子。
事前に訪ねて両親と一緒に食事し、名節の時は帰らず自由に過ごす(もしくは夫だけ帰省)・・・なんていう進歩的な夫婦もいるようですが、まだまだ風当たりが強そうです。
ハフポスト韓国版には、「男女両方が挙げた『名節の性差別』1位は?」(9月16日付)という記事がありました。
女性家族財団が調査した「名節の性差別行動トップ5」によると、男女両方が挙げたのは「名節に女性だけがすることになる料理作りなどの家事労働」53.3%。続いて、性別の固定観念を提示する「女が~」「男が~」といった発言が2位(9.7%)、結婚を勧めたり話題にする「結婚干渉」(8.1%)、男性、女性ごとに食事を分ける「男女分離の食事」(5.4%)、女性が排除されている「祭祀文化」(4.6%)などが続いた。
また、女性からは「外見の評価(4.7%)」という声もあったそう。
そう、男女共にため息をつきたくなるのが親戚たちの小言。
先日、韓国のラジオを聞いていたら、「名節での小言、許す?許さない?」というテーマでトークが繰り広げられていました。
就職はどうするのか、結婚はいつするのか、子どもはいつ産むのか、昇進したのか、年俸はいくらだ、いつになったら痩せるのか・・・・・・
こうした小言に対してほとんどのリスナーが「NO!」と意見していましたが、中には「久々に会う親戚たちにとって小言以外は特に話題もないから仕方ないのでは」という理解者もちらほら。若者からは「小言くらい耐えてみせる。なぜならその後にお小遣いがもらえるから!」というポジティブな声もありました。
そして、小言に正面衝突するのではなく、ユーモアたっぷり華麗にスルーする奇策を出し合って盛り上がっていました。
奇策と言えば、京郷新聞に掲載されていたソウル大学政治外交学部のキム・ヨンミン教授(政治思想)のコラム「秋夕とは何か問い返せ」(9月21日付)がおもしろくて、SNSで話題になっていたのでご紹介。
「人はアイデンティティーを問われると激しく動揺する。それは危機的状況の時に提起されるものだからだ」という導入から、秋夕の話へ。
おじから「お前はいつ就職するつもりなのか」と尋ねられたら、「そのうちしますよ、まあ・・・」とごまかしたりせず、「おじとは何なのか」と答えよう。「秋夕だからわざわざ言うんだよ」と言われたら、「秋夕とは何なのか」。母親に「だいたいお前はいつ結婚するつもりなの」と聞かれたら、「結婚とは何なのか」と答えよう。「この子が狂った」と言われたら、「正気とは何なのか」。父親に「孫の一人でも抱きたい」と言われたら「子孫とは何か」。「家族でこんな話もできないのか」と言われたら「家族とは何か」。
アイデンティティーに関連するこれらの会話は、神聖な呪文となって長年の邪気のようなおせっかいを追い出し、あなたに自由を贈るだろう・・・・・・
名節に限らず、日頃聞かされる小言にも使えるかも?
(アン・インジュ)
1984年ソウル生まれ。1990年に来日、神奈川県で育つ。延世大学校政治外交学科卒。日本の全国紙に勤務中。