言語習得は可能性を開く扉になる
チョンソンです。チョンソンは日本の学校にずっと通っていたので、今、必死に韓国語の勉強をしています。大人になってからの語学習得はしんどい……と思いつつ、周囲の韓流大好きな日本人オンニたちが流暢になるのを見るにつけ、年齢を言い訳にしてはいけないなと痛感しています。
初級を抜けた頃になると、どこの韓国語スクールでも多様な語尾表現を学ぶことになります。「です・ます」に該当する「입니다(イムニダ)」と「습니다(スムニダ)」や少し柔らかい表現の「해요(ヘヨ)」は日本でもおなじみですが、「●●なんですよう~」とか「××だってば!」みたいなものがたくさんあり、覚えるのが大変です。まあ日本語も「●●ンゴ」とか、わけのわからん語尾が日々生まれてますからね。韓国語だってそうでしょうよ。
でも사투리(サトゥリ)、つまりいわゆる方言についてはなかなか学ぶ機会がありません。だから教科書を覚えても地方にいくと何がなんだか、ということがあります。チョンソンも済州島でタクシーに乗った際、運転手さんの言葉が宇宙語に思えて困ったことが……。(以前青年会で紹介した済州の方言は→こちら)
なので「韓国内でもこれだけ言葉が違うんだから、北朝鮮とか中国東北部とかどんな感じなの?」という疑問がわきました。が、周囲に知ってそうな人もいないしこれらの場所に行く機会もない。疑問のまま放置していたある日、水道橋にあるYMCA韓国語講座で『朝鮮民主主義人民共和国と延辺朝鮮族自治州の言葉』なる2回限定の特別講座が開催されると知り、行ってきました。
講師の國分翼先生いわく、北朝鮮では1948年の「新綴字法」で表記されることが決められ、1966年の「朝鮮語規範集」から読むように規定されている言葉があります。そのうちのひとつが、韓国語では変化するものもある、語頭につく「ラ行」が維持されているというもの。具体的には
留学→(유학 ユハク・韓国語)→(류학 リュハク)
旅行→(여행 ヨヘン・韓国語)→(려행 リョヘン)
労働→(노동 ノドン・韓国語)→(로동 ロドン)
理想→(이상 イサン・韓国語)→(리상 リサン)
などです。日本語話者としてはこっちのほうがピンと来るかもと思いました。外来語については
エアコン→(에어컨 エアコン・韓国語)→(랭퐁기 レンプンギ(冷風機))
ヘッドフォン→(헤드폰 ヘッドポン・韓国語)→(머리송수화기 モリソンスファギ(頭+送受話器))
ヘリコプター→(헬리콥터 ヘリコプト・韓国語)→(직승기 チクスンギ(直昇機))
プロペラ→(프로펠로 プロペロ・韓国語)→(수평회전날개 スピョンフェジョンナルゲ(水平回転翼))
と、無理くり漢字を当てたかの如き表記で「戦時中の日本か!」と思うものもありました。まあこれまでの日本やアメリカとの関係を考えたら、英単語や日本語を使わないようにするのはやむを得ないことなのですが。
肝心の発音ですが、なんでもアクセントによる単語の区別がなく、ただし発音する際は同じ場所に同じアクセントが来るのが特徴だそう。また一番最後の音節を高く発音し、文中や文末に切れ目がある際は、最期から二番目の音節を高く発音するそうです。ってこれ、文字で書いてもよくわかりませんよね……。すいません(苦笑)。
一方中国東北部でいわゆる「朝鮮族」が使っている「中国朝鮮語」も、冒頭のR音を表記してそのまま発音します。李明博元大統領は韓国では「イ・ミョンバク」ですが「リ・ミョンバク」になる。このあたりは北朝鮮の言葉と近いですね。
東北部でも延辺朝鮮族自治州で使われる「延辺朝鮮語」は、豆満江の対岸にある咸鏡北道のサトゥリが基本になっていて、ソウルの方言でいわゆる「ヘヨ体」が使われる場面では、「 하오」や「 있소」などの、오/소語尾が使われます。
また延辺朝鮮語では目下の人や親しい人に対してパンマルと呼ばれる砕けた表現(それこそ「~じゃん」とか「~ンゴ」みたいなやつです)ではなく、해라体(한다体とも言う)が用いられのるのだとか。
そして吉林省や黒竜江省東部はやはり咸鏡道サトゥリがベースとなっていて、黒竜江省西北部や西南部は韓国の慶尚道サトゥリ、遼寧省の東部では平安道サトゥリが使われているそう。國分先生によると、これは移民した人たちの出身地と関係があるとのこと。中国は広いので、「中国朝鮮語」といっても地域により言葉が違うことに大いに納得しました。
今日学んで明日使うという訳ではないけれど、地域地域のサトゥリを知ることで、韓国語が少し身近に感じられるようになりました。使いこなせる日が来るのかは謎ですが……。でも延吉はじめ、中国東北部にもいつか行ってみたいな~と、妄想は膨らむばかりです。
ここに書いたのは教えていただいたほんの一部で、他にもいろいろな違いがあったので、もしこのブログを読んで「もう少し知りたい」と思ったら、같이 공부 하자!
かつて尊敬する先輩から「言語習得は可能性を開く扉になる」と言われたことがあるので、私もこれからも、しぶとく韓国語を学び続けたいと思います。
ではアンニョン。
(チョンソン)